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2015.04.11 45日間の旅日記

2日目 失敗の日

         
2015年4月11日 2日目 くもり
参拝札所
7番(霊山寺)→8番(極楽寺)→9番(金泉寺)→10番(大日寺)→11番(地蔵寺)
歩数
42,846歩
距離
27.38km
宿泊
さくら旅館

6時頃に起床。雨は止んだようである。

思っていたより早く起きれ、身体も筋肉痛ではなかった。

朝食は6:30からなので、身支度を整え、食堂に向かう。早く出発する人は、食堂に行く前にリュックを玄関まで運んでいた。

朝食も豪華。(食べ途中ですみません↓)
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バナナはお接待袋が付いていて、持ち帰ることができる。

しかし、私が唯一苦手な食べ物がバナナなのだ。バナナが食卓にでるのは学校の給食以来である。給食時は誰かにあげたりと場をしのいでいたが、ここはお寺。修行の場。なんだかヒシヒシと「お残しは許しません」オーラが出ている気がする。

何度かトライしようか悩んだが、やはり食べられないので、そっと席を立ってその場を去った。

7:10に宿を出発。

次の十楽寺まではほんの数キロである。

今日の目標は11番札所の藤井寺までいかなければならない。もし今日藤井寺までいかないと、翌日は藤井寺が開く7時まで待ってから、お遍路ころがしと言われる焼山寺に向かわなければいけないのだ。

お遍路ころがしといえば、『健脚5時間、ふつう6時間、弱足8時間』といわれる難関と聞く。山登りが苦手な私は、間違いなく弱足。何時間かかるか分からない。

昨日は距離が短かった分、今日歩ける距離は未知数なので、とにかくペースを上げて歩くことにした。(とはいえ私の速足は普通の人の遅足である)

今日は曇り空で日差しも弱く、歩きやすい日だった。

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昨日の雨でか、カタツムリも見かける。

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道はずっと平坦で次の十楽寺までは15分ほどで着いた。

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入口はなんだか中国っぽい。中はお地蔵さんがたくさんあって、なかなか趣があった。

参拝を終え、次の札所に向かう。ゆるやかな坂を上るとそれらしき建物が。

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しかし、ここは参道の入口(?)だったのか、ここからしばらく歩く。歩く。歩く。

8:40頃、熊谷寺に到着した。

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団体客で賑わっている。大勢でお経を唱える姿は圧巻だった。お経にまだ不慣れな私は、便乗して一緒に唱えることに。

団体さんが多いと、御朱印も込み合っていて書く人も大変そうだった。御朱印っていうのはそのお寺の名前を頂くものなので、いつも有難く頂いているのだが、さすがはお遍路の国。これだけの人数を毎日書いていると御朱印が商売のように見えてならない。実際にお坊さんがしっかり書いてくださるお寺もあれば、御朱印を書くだけの女性が世間話をしながら書く場所もあった。色んな意味で感慨深いと思った。

9:40頃、次の法輪寺に到着。

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ここもお遍路の団体さんでいっぱいだった。境内は整備されていて、トイレも綺麗だった。

ここまでスムーズにきている。お寺の間隔が近いからか、バスの団体さんと同じペースで、「早いね~」「さっきの子ね」と団体客の奥様方に声をかけられる。

まだ二日目の私はこれが早いのか分からず、まだ素人なので愛想笑いで対応する。

次の切幡寺は下調べによると300段の階段があるという。少し体力を温存して次に向かって道を歩き始めた。

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相変わらずののどかな道が続く。
交通量の少ない道が多かった。

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途中にあった小豆洗大師。小豆洗いって妖怪じゃなかったけ・・?と思いながら、一応手を合わせる。

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しばらく行くと、あった!

門が見えた。ここまで緩やかな坂道。なんだ大したことないんじゃ・・・

と思ったのもつかの間。

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坂が見えた。あれ?頂上が見えない・・・。

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聞いていた300段の階段。なかなかキツイ。でもまだ午前中なので体力はある。
行き交う人に「がんばれ!」「もう少しだよ!」と声をかけられる。
こういう声の掛け合いって、素敵だと思った。
目の前には安楽寺で食事の際、目の前に座っていたFさんが。
腰が悪いと言っていたのに、快調なペースである。おそるべし。

しばらくして、やっと切幡寺に着いた。

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なかなか趣のある建物だ。
お参りをして、納経帳をいただき、お昼になるので少し休憩をとる。

こういう仕事柄、お遍路に行く前にインターネットでいろいろ調べた。
先人のブログによると、この先に「やまじゅう」という食堂があると書いてあった。

この頭でっかちのお遍路素人がこのあと地獄を見る・・・。
これからお遍路をする方は調べるよりも、まず現地の方に「お昼が美味しいところが近くにありますか?」
と一言聞くことをオススメする。

地図を見ているところで、先ほど一緒に階段を上ったFさんに声をかけられる。
お昼だし、一緒にごはんでもどうか、という嬉しいお誘いだった。
まだ人見知りが残っているが、こういう機会は積極的に受けておきたい。
二つ返事で了解して、この先に美味しい食堂があるみたいですよー。などと知ったかぶりの情報を教える。
食堂に向かって揚揚と歩き始めた。

Fさんは、佐渡島からきたややご年配の女性だった。
今回は、かねてからの夢だったお遍路がやっとできたと意気込んでいた。
腰が悪いらしいが、練習で毎日20kmも歩いていて、準備もバッチリという。
仕事の都合で、今回は徳島だけの区切り打ちでスケジュールも最後まで組んでいるとのこと。
私とはくらべものにならない計画的な旅である。

お遍路の話で盛り上がり、明日の焼山寺の不安で盛り上がり。

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道にある、お遍路人形を見つけて盛り上がっていたところで、ふと気づく。

あれ?食堂なくね?

下調べに書いてあった場所には、食堂どころか、お店の一つもない。
おかしい。おかしい。
食事をするという話でご同行してもらっているFさんに申し訳なくなって焦りだす。
この食堂があるというから、途中のうどん屋も素通りしたというのに・・・・。

次の曲がり角を曲がったら・・・
次の国道を出たら・・・・
と願いながら
歩いて
歩いて
歩いた結果

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なにもない!

なんて見晴らしがいいんだろうか・・・・。
この先、あと10km以上は何もないのだと悟った。

Fさんにひたすら謝る。あの時うどん屋に入っておけば良かったのに。頭でっかちなお遍路旅。ダメ絶対。そもそも、情報が古かったのかもしれないし、営業時間も調べていないのに、そこを目指すのが間違っていた。
Fさんはお昼を諦めて、手持ちのチョコレートをくれる。本当にいい人だった。

長く続く畑道。

大きな川を渡る。この橋は沈下橋というらしい。堤防がないので、まるで川の上を歩いているようだった。

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お昼を食べていないのと、靴の調子が悪いのか、足が痛み出した。昨日の雨でマメができていたが、それで皮が剥けたようだ。
お昼の件で申し訳なくなっている私に、「もう少しで藤井寺だよ」と応援してくれるFさん。Fさんも足が痛そうで一緒に励ましあって歩く。

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つ、着いた・・・。
15時頃、藤井寺にようやく到着した。
足がプルプルする。休憩しながら靴を見ると、中のプラスチックのような部分が割れて、肌を圧迫していた。これは痛いはずである。
明日の焼山寺は大丈夫だろうか。とりあえず応急処置でガムテープで補強した。
藤井寺を今日お参りしておけば、早朝から焼山寺に行ける。今日のミッションはなんとかクリアである。

Fさんはここから一番近い旅館吉野に宿泊するとのこと。やはり相部屋らしいが、そういうのは気にしない性格らしい。
どこまでもしっかりしたFさん。本当に今日はありがとう。そして、お昼はごめんなさい。
最後に、旅館吉野の前で見送って別れた。明日見かけたら、ぜひ声をかけたい。

私も、旅館に向かう。
この先を行くと、飲食店が立ち並ぶ、なかなかの町だった。駅前だからか?もっと早く、こういう街中に来れれは、お昼を食いっぱぐれなかったのに・・・。
お腹が空いているので、気持ちが悶々とする。

足も痛い。

さくら旅館は藤井寺から2.5kmなので、疲れた身体には遠く感じた。
途中で薬局が見えたので、寄ることに。
なんと、月経が来てしまったので生理用品と、この足のマメをどうにかしないと、明日は無理なのである・・・。
薬局で、消毒液やら絆創膏やらを買い、旅館に向かう。
旅館まであと少し、というところで、はっと気づく。

金剛棒忘れた!!!

あーーーーー。もう休めると思っていたのに!薬局まで逆戻りである。
絶対やると思ったが、まさか二日目でやるとは・・・!今日は厄日なのかもしれない。Fさんに嘘情報でお昼を食べさせてあげられなかった罰かもしれない。仏さまが天から見ている気がした。

500mほど戻り、往復で1kmは多く歩いてしまった。
ようやく宿に着いた。
さくら旅館は駅前の商店街の中にある、趣のある旅館だった。

昨日は宿坊だったので、旅館は初めてである。

女性の女将さんが、迎えてくれた。金剛棒を洗うバケツもあり、お遍路さん御用達なのだと入口で分かる。
靴がすでに沢山あり、皆さん早く到着しているんだと思った。そうだよな・・・私往復したもんな・・・。
部屋に通されると、とても広い和室。
建物は古いが落ち着く雰囲気だった。
昨日は大浴場に入れたが、旅館では交代制だった。今までビジネスホテルにしか泊まったことがないので、交代制の風呂も初めてで要領が分からずワタワタする。

風呂に入ると、足がすごいマメだった。マメができるのは覚悟していたが、昨日の雨でふやけたせいか、全部の指にマメができた。
お風呂を出て洗面台のドライヤーで髪を乾かしていた時に、男性の方に「足は大丈夫かい?」と声をかけられる。
足を見せると、「水抜かなきゃだめだよ。針で二か所穴開けて水抜いて絆創膏張っておけば治るから」と言われて、針が無いことを伝えると、「部屋にくれば針貸すよ」と言ってくれた。
何度目かのお遍路らしい男性の方。さすが玄人である。食事の後に行く旨を伝えて、食事の前に洗濯などを済ませた。

洗濯は外にあって無料だった。乾燥機は有料だったが洗剤もあり無料なのは有難い。

写真を取り忘れたが、夕食が美味しかった。
隣のテーブルでは何度目かのお遍路なのか、玄人の男性二人がお遍路について熱く語っていた。

私の隣に座っていた品のあるご年配のご婦人二人は姉妹らしく、お姉さんが今回二回目で、妹を誘ってお遍路をまわっているとのこと。
お姉さんの足が悪いので、明日からはバスツアーでまわるらしい。手作りの納経帳を入れる白いバッグをお揃いで作っていてとても可愛い姉妹だった。

食事のあとに先ほどの男性の部屋に針を借りに行くと、「これ持っていきな」と安全ピンをくれた。
ああありがたいぃぃぃ。この安全ピンは旅の終わりまで大活躍した。名前を聞かなかったけれど、その節は本当にありがとうございました。

明日は焼山寺の時間が心配なので朝食を食べずに出発する予定だ。

本日の宿

さくら旅館
オススメ度 ★★★★☆
料金 夕食のみ 5,700円
部屋の広さ 和室8畳
浴衣 部屋鍵 ×
洗濯機(無料) 乾燥機(200円)
洗濯洗剤 ドライヤー
テレビ ハンドタオル
バスタオル 石鹸orボディーソープ
シャンプー リンス ×
その他 風呂トイレ共同・風呂は入れ替え制・昼食お接待

本日の出費

飲食代
667円
薬代
1,422円
宿泊費(夕食・朝食付き)
5,700円
乾燥機
200円
計 7,989円