女将さんの言っていた通り、朝は宿の人は誰もいなかった。自由に出てくださいというシステムのよう。

昨日怒られたショックがあり、領収書の裏に昨日のお詫びと生理痛で動けなった旨の謝罪文章を書いて机に置いておいた。

昨日は話も聞いてくれなかったので、こちらも理由があったことだけは伝えたかった。お遍路さんがみんな、常識のない人だと思われるのは、次に泊まるお遍路さんに失礼だからだ。

「お遍路なんかにあわせて起きない」と言っていた女将さん。あまりお遍路客に良い印象はないようだ。書き置きを読んでくれていると良いのだが。。。

この日は朝から体調が悪い。

嫌なことは続くもので、実はこの日の宿は旅のワースト1だった。

この先は宿も少なく旅館を予約するのに迷った。

お遍路道から離れたところしか、本には載っていないのだ。しかもお遍路仲間さんに聞くと、どこも良い話を聞かない宿ばかり。

迷いながらも「たちばな旅館」を予約した。

すると電話で「迎えにいきますよ」と送迎の提案をされる。お遍路道から逸れた場所にあるから、常識なのだろうか。

私は旅は全て歩くと決めていたが、当たり前のように送迎すると言われて迷った。目印である三嶋神社まで行き、次の日はそこまで送るから途中から歩けばいい、という女将さん。

そういう風に歩く人は今まで何人も見かけた。

つい、気軽にその提案にのってしまった。本日旅が始まって初の自動車だ。そしてそれを今でもとてもとても後悔する。

この日も札所がなく、宿から宿へ歩くだけの日だった。

距離も短く、体調も悪い日なのでタイミングが良かった。

曇り空が晴れてきた。

朝日とともに日差しが強くなる。

昨日と打って変わって、田舎道が続く。

宿が少ないのも頷ける。この先は民家も少ない。

お店も無いが、体調も悪かったのでお昼を食べる気力もなく。

ただただ歩く。

この辺りで、遍路道沿いではない旅館は過ぎている。

明日の稼ぎとばかりに、そのまま進む。

アスファルトの坂道をずっと上ったところが、待ち合わせの三嶋神社だ。

↓15時半ころ、三嶋神社に到着。

着いて電話をかけるとすぐに迎えに来てくれるという。10分ほど待って、軽自動車（ボックスカー）に乗った女将さんに出会う。

このお宿。電話ではまったく送迎の料金を言わなかった。料金を言わないのに女将さんの方から「送迎する」と提案するのはいかがなものか。

そもそも許可がなければ有料送迎は違反であるので、黄色の軽自動車ナンバーを掲げた自家用車で送迎する女将さんがまさか料金を請求するとは思わなかった。

この送迎で500円取られました。

以前職場で送迎バスの購入に関わっていたのでこの辺りの事情は多少は知っている。違法だと知りながらも、昨日も宿の人に怒られた経験からか、車で二人っきりで途中降ろされるのも怖いので、不満ながらも受け入れる。だが、有料送迎は違法です。旅館にも「お遍路さん送迎大歓迎」と費用を書かずにアピールしていたが、きちんと許可とってナンバープレート変えてください。

こんな嫌な気持ちになるならば、「最後まで全て歩く」という意志を貫けばよかったと後悔した。

しかもこれだけでない。部屋に通された途端に、なぜかテレビをつける女将さん。案内の途中でなぜ？と思ったら、競馬の結果を見たかったらしい。客の泊まる部屋で堂々と競馬中継を見始める。

なんだ、この人は。

しばらくして結果が分かった女将さんは、テレビをつけっぱなしで部屋を出ていった。

びっくりして声も出ない。

しかし、この辺りは宿が少ないので、お遍路仲間さんが複数人宿泊していた。

お風呂場に向かうと同世代の女性も2人いて、話が弾む。

二人共、区切り打ちとのこと。数日間は同じルートを歩くことに。

そして、食事の時間。この宿は、食事全てにラップがかかっていた。

せめてラップを外してから客に出してほしい。みんな苦笑い。

↑これはラップをとった後の写真。この小皿全部にラップがあったのだ。作り置きは分かるが…それを堂々とみせるものすごい。宿が少ないので競争相手がいないのか。お遍路に優しいと見せかけて、かなり失礼なことが目につく。

とはいえ、久しぶりに多くのお遍路さんとの食事は楽しかった。