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2015.04.12 45日間の旅日記

3日目 お遍路ころがし焼山寺をゆく

         
2015年4月12日 3日目 晴れ
参拝札所
12番(焼山寺)
歩数
38,535歩
距離
25.89km
宿泊
なべいわ荘

早朝、天気が良くて気持ちの良い朝だった。
皆さんが朝食を食べている中、出発する。
女将さんがお昼をお接待で持たせてくれた。まだ温かくて、手作りが嬉しい。
感謝を言いながら宿を出る。

昨日通った道を歩き、藤井寺に向かう。昨日往復したので、見慣れた町並みである。

焼山寺に向かう登山道の入口は、藤井寺の奥にある。

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↑ここが焼山寺みちの入口。この入口からは「お遍路ころがし」の大変さは微塵も感じられない。

藤井寺には早くも人がいた。お遍路さんが多い春は、こういう難所を同じ日に登る人が多くて心強い。

少し階段があった後、本格的な登山道になる。

昨日の夕食に一緒だった女性姉妹の方から、
「焼山寺は辛いけれど、登った道の途中で、すごく綺麗なところがあるのよ。今詳しく話しちゃうと楽しみがなくなっちゃうから、明日楽しみにしててね」
と素敵な話を聞いた。詳細を言わない所が、本当に素敵なご婦人である。

風景を楽しみに、頑張って登る。
お遍路ころがしがあると聞いて、出発前に近所の岩山に登ったりと準備はした。だが岩山の方が足場に気を付けるだけで体力は消耗しない。
焼山寺は登山というよりもアップダウンの多い山道でとにかく長い。

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何時間登っただろうか。リュックが重い。背中が痛い。
疲れが出始めたころ、しばらくして平らな道に出る。

すると目の前に広がる景色!

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おお!これか!

標高が高く、目の前を遮る木もなく、徳島の広大な眺めが目の前に拡がる。
そこは、丁度、休憩所もあったので、景色を眺めながらしばし給水休憩をとる。

まだ先は長い。アップダウンは多いが、土の地面は足に優しく、登山者が多いからか道も綺麗だ。

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時計を見るとお昼近くなっていたので、新緑の深い木陰で昼食をとることに。
さくら旅館で頂いたお弁当をあける。

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おにぎり二つにお漬物。そして旅館からのお手紙が添えられていた。
宿泊の感謝の言葉と焼山寺への激励の言葉。

「人々との出会いふれあい、思いやり、荷物にならない思い出いっぱいリュックにつめてお帰り下さいね」

手書きで一人ひとり書かれたのだろうか。とても心温まるお手紙だった。

ほっこりして、食事を終え、残りの道を歩く。すでに5時間は登っている。早い人ならばもう到着している時間である。
お遍路で登っている人以外に、スポーツで走っている人々も沢山いた。往復して帰ってきた人たちとも何人もすれ違う。
登山が苦手な私は、時間がかかると覚悟していたが、本当に今日中に着くのかさえ不安になる。

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↑道中、お遍路ころがしに倣った教訓が掲げてあった。

このアップダウンと同じく、確かに人生いろいろあります。
そして昼食から二時間後。

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「お疲れ様です」の文字!

おお、終わったのか!・・・・ん?終わったのか?

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整備された道がまだ続く。

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右側の岩壁には沢山の石像が並ぶ。

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最後の階段を登れば、

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やっと着いたー!

ここまで7時間。早い遅いは関係なく、登りきったことに感激である。
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焼山寺はお遍路ころがしで有名だからか、中は広くて綺麗だった。
団体客の方に声をかけられ、「頑張ったね」と褒められる一方、「私は無理だわー、車よ車」と近代化の恩恵を受けている発言にうっと言葉が詰まる。

だけれど、歩いて焼山寺に登った人には、とある特権があると、昨日私は聞いた。

それは

白衣への納経は歩いた人にしか書いてくれない

という。

それを聞いて、焼山寺では納経帳だけでなく白衣にも納経していただいた。

焼山寺のお坊さんは、他のお寺より厳格な印象で、納経帳は一人一つまでが厳守だったり、車で来たか歩いてきたかしっかり確認していた。
その中でも背中に歩いた証拠が残るのが、少し誇らしかった。

7時間の死闘を終えて、30分ほど休憩をとる。

本日の宿は、なべいわ荘。ここから4kmの道のりだが、登山を終えて少し安心しきっていた。

お遍路ころがしはまだ終わっていなかったのだと・・・。

焼山寺を出て、宿に向かう。

今までの山道と違って、アスファルト道が続く。しかもずっと下り坂である。
しばらくして、足の辛さが増す。下り坂の方が、倍も足に負担がかかるのだ。
しかもアスファルトだからか衝撃が強い。

4kmの道のりが、果てしなく続いた。一歩一歩が針山を歩いているような激痛。

辛い。

本当に辛い。

登り道の方が数倍楽だった。

4kmの道のりを2時間かけて降り、宿にやっと着いたのが17時近かった。

宿に着くと誰もいない。

「こんにちはー!」

と声をかけるが誰も出てこない。

とにかく疲れたので、靴を抜いて腰を下ろす。
すると子供を抱きかかえた亭主らしき人が現れた。

予約した者だと伝え、部屋に通される。子供を抱えているからか、特に説明もない。客よりも子供と話している。
子供は好きだ。でも今は部屋で早くゆっくりしたい。お風呂に入りたい。切実に。

荷物を下ろし、お風呂を探す。何も説明を受けていないので、お風呂がどこかも分からない。

うろうろ食堂らしきところを除くと、お風呂は今入っているから待ってくれという。

あ、お風呂そこだったのね。と思いながら部屋に戻る。

30分してまた一階に降りるとまだ風呂に入れないという。
だったら、入れるようになったら教えてくれと思う。正直この階段も辛いのだ。

やっとお風呂に入れたのが18時だった。
お風呂を通ると、食堂に人が沢山いた。

え、私、今からお風呂なのに、食事の時間なの?
そもそも食事の時間も教えてもらっていないのである。

風呂は二つあって、大きかった。
だけれど、とてもぬるい。まったく温かくない。熱湯を足すが、風呂が広いので全く温まらない。
食事も始まっているようだし、長湯はせずにすぐに出る。
着替えを部屋に置いてから食事をしようとお風呂を出ると、

「食事はもうできてるよ。冷めますよ」

と亭主に言われる。
分かってるわ!目の前でみんな食べてますがな!冷めますよって、風呂は冷めてたわ!

みんな食事をほぼ終えていた。私が食卓についてからの食事が来るのかと思ったら、すでに冷めきった食事がそこに・・・。
周りの酔った(であろう)お遍路客の方々が「遅かったね」「さっきここの子供からマシュマロをもらったけれど君のは遅いから無いよ」「ご飯冷めちゃったでしょう」と笑われるが、疲れきっていて愛想笑いに徹した。

洗濯機の場所も結局、お客さんに聞いて、ぐったりして部屋に戻る。

そういえば、明日はどのルートで行こうか。
ここからだと、降りた国道の道か、山道か二つのどちらの道からでも行けるのだ。
迷っていた所、他のお遍路さんに聞こうと一緒の宿に宿泊していた夫婦に声をかける。

Wさん婦人は「うちの人がお遍路詳しいから部屋においで」と声をかけてくれた。
旦那さんは数回目のお遍路で、菅笠も自分で色を塗ったというお遍路大好きな方だった。
Wさん夫婦は、これからの道の注意点や、オススメの宿を教えてくれた。それから、マメに良いという絆創膏をくれた。
それがBAND-AIDのキズパワーパッドだ。これは本当に良い。通常のよりも厚手で柔らかいので貼っているだけで痛みが和らぐ。

寝る前だというのに有難くも、Wさん夫婦に沢山お話しを聞けた。

何度もお礼を言って、私も部屋に戻る。

今日の焼山寺の途中でも、リポビタンDをくれた方や飴をくれた方、あとWさん夫婦。一期一会の出会いに感謝である。

本日の宿

なべいわ荘
オススメ度 ★☆☆☆☆
料金 夕食・朝食付き 7,000円
部屋の広さ 和室6畳
浴衣 部屋鍵(内鍵)
洗濯機(無料) 乾燥機(無料)
洗濯洗剤 ドライヤー
テレビ ハンドタオル
バスタオル 石鹸orボディーソープ
シャンプー リンス
その他 洗面・風呂・トイレ共同

本日の出費

宿泊費(夕食・朝食付き)
7,000円
計 7,000円